毛玉の取り方:ハサミと毛玉取り器の使い分けと、できにくい素材

毛玉は、指でむしらずに根元で切って取ります。数が少なければ刃先の細いハサミで1つずつ、広い範囲にできていれば、平らな台に広げて毛玉取り器を軽く当てます。むしると生地がだんだん薄くなり、引っ張られて伸びた繊維から、また新しい毛玉ができます。
毛玉はむしらずに切る:道具は毛玉の数で選ぶ
毛玉を手でむしり取るのは、東京都クリーニング生活衛生同業組合もユニクロも「厳禁」としています。クリーニング組合は、つまみ取ると生地がだんだん薄くなるとし、ユニクロの記事は、伸びた繊維が新しい毛玉のもとになるとしています。道具は、毛玉がどれくらいの数、どれくらいの広さにできているかで選びます。
| 道具 | 向いているとき | 気をつけること |
|---|---|---|
| 刃先の細いハサミ | 毛玉が少ないとき | 平らに置き、生地を切らないように根元だけを切る |
| 電動の毛玉取り器 | 毛玉が広い範囲にできているとき | シワを伸ばし、押し付けずにゆっくり動かす |
| T字のカミソリ | 毛玉が多いとき(ユニクロの記事が挙げる方法) | 表面をなでるように走らせる。カシミヤやモヘアのような毛足の長いニットには使わず、ハサミで切る |
| 洋服ブラシ | 毛羽立ちが始まったとき | 軽くこすって毛玉を浮かせ、浮いたものをハサミで切る |
ハサミで切る
- 毛玉のある面を上にして、テーブルやアイロン台に平らに広げます。
- 毛羽立った部分を洋服ブラシで軽くこすり、毛玉を浮かせます(メンケン品質検査協会)。
- 毛玉を指で軽くつまみ上げ、生地を切らないように根元を切ります(ユニクロ)。切りすぎると穴があくことがあります(メンケン)。

ユニクロの記事は、毛玉が多いときはT字のカミソリを表面になでるように走らせる方法も挙げています。クリーニング組合が勧めているのは、毛玉取り器を慎重に使うか、ハサミで慎重かつ丁寧に切ることで、カミソリには触れていません。

毛玉取り器を使う
テスコムの毛玉クリーナーKD501の取扱説明書では、使い方は次のとおりです(テスコム KD501 取扱説明書)。
- 衣類をアイロン台などの平らな場所に置き、シワを伸ばします。
- セーターには付属の風合いガードを付け、太い毛糸のセーターほど高く合わせます。高くするほど、残る毛足が長くなります。
- 使う前に、裏など目立たない所で試します。
- 刃を軽く布に当てて、ゆっくり動かします。速く動かすと、毛玉が切れずに残ります。
- シワが寄らないように、もう片方の手で衣類を押さえておきます。
強く押し付けると、生地を傷めます。別の機種の説明書には、強く押し当てると布地に穴があく恐れがあるとあり、手やひざの上に衣類をのせて使うことも禁止しています(テスコム TKD45A 取扱説明書)。ユニクロは、小さすぎる毛玉は吸い込まないことがあるとしています。
KD501の説明書では、モヘア、アンゴラ、カシミヤのような毛足の長いもの、薄い生地やレース、ストッキング、縫い目や刺繍のある部分、ほつれたり薄くなったりしている部分には使えません。ほかの機種やメーカーの毛玉取り器を使うときも、手元の説明書で使えないものを確かめます。

毛玉を切ることは、生地の繊維を切ることでもあります。メンケンは、毛玉を切って取れば服の生地は薄くなると説明し、クリーニング組合は、毛玉取り器で一気に刈り取るのは衣服を傷つけているのと同じだとしています。取るのは、気になる所だけにします。
合成繊維の毛玉は落ちずに残る:素材で変わる毛玉の出方
メンケンによると、毛玉は5つの段階をたどります。こすれて毛羽が立ち、毛羽どうしが絡み、玉になり、まわりの毛羽を巻き込んで大きくなり、最後に生地から落ちます。
素材の違いが出るのは、この最後の段階です。ニッセンケン品質評価センターによると、綿や羊毛は合成繊維より繊維の強度が弱いので、できた毛玉はだんだん落ちていきます。ポリエステルのような合成繊維は強度が大きく、毛玉が生地に根をおろした状態になって落ちません。綿とポリエステルの混紡糸では、ポリエステルが根をおろすので、毛玉は落ちずにどんどん大きくなります。
クリーニング組合も、アクリルやポリエステルの製品は毛玉になりやすく、強い繊維なので毛玉が表面に留まるとしています。ウール、カシミヤ、アンゴラのような動物の繊維は毛玉もできにくい素材に挙げていますが、正確には、できても表面に留まらず自然に落ちる、という説明です。カシミヤについては、ユニクロの記事も無印良品も、毛玉ができやすいとしています。メンケンは、毛玉そのものは強度の低い綿や麻のほうができやすく、ポリエステルやナイロンはできにくいかわりに、一度できると落ちにくく目立つとしています。どの素材にできやすいかは資料によって違いますが、合成繊維の毛玉は落ちずに残るという点は、ニッセンケン、クリーニング組合、メンケンで同じです。
素材によって、取り方も変わります。
- アクリルやポリエステルの服と、それが混ざったニットやスウェットの毛玉は、自然には落ちません。切って取ります。
- ウール100%の生地の毛玉は落ちやすいと、ニッセンケンは説明しています。
- カシミヤ、アンゴラ、モヘアのような毛足の長いニットは、KD501の説明書では毛玉取り器が使えないものに入っています。ハサミで1つずつ切り、着たあとはやわらかいブラシで毛並みを整えます(ユニクロ)。
毛玉ができにくい服は、品質表示と糸と編み目で見分ける
- 品質表示:クリーニング組合は、アクリルと綿、ポリエステルとウールのような混紡を、特に注意が必要な組み合わせに挙げています。
- 糸:撚りが甘くふわふわした糸や、起毛した生地は、毛玉ができやすいものです(クリーニング組合、ニッセンケン)。
- 編み目と表面:密度の粗いニットは織物より毛玉ができやすく、同じ織物でも表面の凹凸が大きい生地のほうができやすくなります(メンケン)。
- 加工:「抗ピリング加工」は、糸や生地の段階で毛玉を抑える加工です。毛玉ができても、すぐ落ちるようにする方法もあります(メンケン)。
毛玉は脇、袖、バッグが当たる所にできる:着方で摩擦を減らす
毛玉のもとは摩擦です。クリーニング組合は、脇や袖の内側のように、繊維どうしや物とこすれやすい所を挙げています。リュックサックなら、肩ベルトが当たる肩と、本体が当たる背中にもできます。重ね着も摩擦になります。ニッセンケンはポケット口、脇の下、尻、内股を、ユニクロはウールのコートについて肩、袖口、腰を挙げています。
着方で変えられるのは、次の2つです。
- 続けて着ない:ユニクロの記事は、カシミヤのニットは1日着たら2〜3日休ませるよう勧め、無印良品は1日着たら1日休ませるよう案内しています。
- 帰ったらブラシをかける:メンケンは、家に帰ったらまず服をブラッシングする習慣を勧め、クリーニング組合も、着たあとは洋服ブラシで毛羽の絡みを整えるよう勧めています。
gussyで、その日のコーデに「着た」を付けておくと、服ごとに着用回数が残り、カレンダーでいつ着たかもさかのぼれるので、同じニットが何日も続いていないか確かめられます。
洗濯でこすらない:裏返してネットに入れ、短く洗う
洗濯機の中でも、ほかの衣類や洗濯機そのものとこすれて毛玉ができます(ユニクロ)。クリーニング組合は、ネットに入れることと、裏返して短い時間で洗うことで、毛玉の発生を減らせるとしています。ライオンは、リブ付きのスウェットパンツについて、洗濯表示に洗濯おけか手洗いのマークがあれば家で洗えるとし、裏返して洗濯ネットに入れ、おしゃれ着用洗剤を使って洗濯機の手洗いコースで洗うよう勧めています(Lidea)。

ニットの洗い方そのものは、ニットの洗濯方法で、洗濯表示の見方から干し方まで確かめられます。
柔軟剤については、花王とメンケンが毛玉を抑える効果を挙げて使うよう勧め、ニッセンケンは、繊維がすべりやすくなると毛羽立ちも起きやすくなるとして、使いすぎないよう勧めています。使うなら、製品に書かれた量を守ります。
新品に近い風合いを保つことを優先するなら、クリーニング組合はドライクリーニングを勧めています。
よくある質問
毛玉はなぜできる?
着ているときや洗濯のときの摩擦で生地の表面が毛羽立ち、その毛羽が絡み合って玉になります。脇や袖の内側、リュックが当たる肩など、こすれる所にできます。
毛玉はハサミで切ってもいい?
はい。手でむしらず、平らに置いて毛玉をつまみ上げ、生地を切らないように刃先の細いハサミで根元を切ります。
毛玉取り器で穴があくのはなぜ?
刃を強く押し当てると布地に穴があくことがあるので、平らな台でシワを伸ばし、刃を軽く当ててゆっくり動かします。縫い目、薄い生地、ほつれた所には使いません。
毛玉は洗濯で取れる?
毛玉は洗濯の摩擦でもできるので、洗濯で取ろうとするより、ハサミか毛玉取り器で取ります。洗うときは裏返して洗濯ネットに入れ、短い時間で洗います。
毛玉を取るとどうなる?
表面はなめらかになりますが、毛玉を切ればそのぶん生地は薄くなります。摩擦が続けばまたできるので、取るのは気になる所だけにして、着方と洗い方で摩擦を減らします。
毛玉ができにくい素材は?
資料によって違い、東京都のクリーニング組合はウールやカシミヤなど動物の繊維を挙げますが、ユニクロと無印良品はカシミヤを毛玉ができやすい素材としています。共通するのは合成繊維の毛玉が落ちずに残る点で、アクリルと綿のような混紡には注意します。



